牟礼・庵治で使われていた石工用具
およそ80年前に撮影された道いっぱいの人でにぎわう写真。
場所は東讃電気軌道(現・高松琴平電気鉄道)八栗駅前、奥に見えるのは五剣山(香川県高松市)である。
五剣山周辺は良質な花崗岩・庵治石(あじいし)を産出し、地元の牟礼(むれ)・庵治では石の切り出し、加工が行われてきた。
現在、高松市石の民俗資料館では、大規模な機械化導入以前—1960年代まで使われた石工用具を展示している。
それぞれをじっくり観察すると、作業工程やその場に合わせた構造になっていることがよくわかる。
たとえば、入室してすぐ左手に展示されている「ハコグルマ」。
切り出した石などを運ぶ手押し車である。
箱型の荷台から把手、車輪にいたるまですべて木製で、車輪の接地面には細かな鋲が規則的にびっしりと配される。
おそらく、丁場(石切場)の悪路を走行するために鋲を打ったのだろう。
石工用具のほか、丁場や地元の日常を写した古い写真、方眼紙に描いた丁場の位置図なども並ぶ。
先端の尖った軍人墓や100種類もある灯籠の見本図は、牟礼・庵治で生産してきたものをうかがえて、深く読み込めば次に展開できそうな気配を感じる。
「牟礼・庵治の石工用具と手しごとの時代」
場所:高松市石の民俗資料館
期間:〜2015年3月29日
料金:200円
開館20周年記念収蔵品展「牟礼・庵治の石工用具と手しごとの時代」の御案内 | 高松市収蔵品情報システム