蛸壺

多度津の蛸壺生産

かつて栗林公園(香川県高松市)で土産物として販売されていた大小の蛸壺。口縁部に黒い麻紐も巻かれている。 いずれも香川県多度津町(たどつちょう)東白方(ひがししらかた)の蛸壺生産者の手によるものだ。 多度津では1990年ころまで蛸壺を生産していた…

小手島の蛸壺漁

人口39人*1の島に5,000個を超える蛸壺。 蛸壺漁が解禁される5月になると小手島(おてしま・香川県丸亀市)の港には多くの蛸壺が並ぶ。 そのほとんどは船具屋から仕入れる樹脂製の蛸壺である。 (所有者がわかるようにカラーリングが施された蛸壺) それでも…

安芸津の蛸壺生産

道路沿いに突如現れるレンガ積の構造物。ドーム状の天井をもつ部屋が階段状に10房連結し、側面には太い鉄管が通る。下から上まで20mはあるだろうか。 安芸津(あきつ 広島県東広島市)に所在するこの構造物は福原製陶の登り窯である。福原製陶は一度に6,000…

二見で使われる宇多津産蛸壺

大規模な漁港を抱える二見(ふたみ 兵庫県明石市)。 幕末に港湾施設が整備され、それを顕彰する「二見浦築港記念碑」が建っている。 蛸壺漁が盛んな地らしく、港では数多くの蛸壺を見かけることができる。 プラスチック製のもの、塩化ビニル管を加工したも…

宇多津の蛸壺生産

回転する粘土から次々に壺が生み出されていく。これらはやがて蛸壺となって遠く離れた漁師の手に渡り、海の中で活躍することになる。 香川のほぼ中央、宇多津町の鍋谷(なべや)では蛸壺をつくっていた。 祖父の代からこの地で蛸壺屋を営んでいたという藤原…

津和地島の蛸壺漁

「最初はこの壺で本当にタコが入るんかどうか心配しよったけどな」 津和地島(つわじじま)の漁師、鴻池さんは45年前を述懐する。 津和地島では主に安芸津(あきつ)から蛸壺を仕入れていたが*1、1967〜69年ころ、風早からの調達が難しくなり鴻池さんは別の…

野忽那島の蛸壺漁

「僕は陶器を使うことが多かったんで。プラスチックはセメントを入れんと使えんのですよ。プラスチックはフジツボがついても掃除もしにくいんですよ。」 蛸壺漁に使う蛸壺には陶器のものとプラスチック製のものがある。野忽那島(のぐつなじま 愛媛県松山市…

シーボルトが見た蛸壺漁

1826年、瀬戸内海を航行したシーボルトは日比(ひび)で見た漁法に興味を覚えた。著書『日本』には次のように記されている。 「海岸でわれわれは、イカを捕る巧妙な技法をみた。漁師は長いワラ縄にバイ貝の一種の大きな貝を並べてつけ、これを海中に入れる。…